建設工事計画届の対象と添付書類|14日前が期限
目次
建設工事計画届は、高さ31mを超える建物や深い掘削など、規模の大きな仕事を始める前に、労働基準監督署へ出す届出です。様式は労働安全衛生規則の様式第21号で、「31m」「10m」といった数字は見つかるのですが、何日前に出すのか、何を添付するのかで迷う人が多くいます。
この記事では、建設工事計画届の対象になる仕事の判定と、様式第21号に書くこと、添付書類、計画づくりに加わる有資格者までを、労働安全衛生法88条と労働安全衛生規則90条〜92条の3の条文に沿って整理します。図面の細かさや提出の運用は所轄によって違うため、最後は所轄の労働基準監督署に確認してください。
建設工事計画届とは?労働安全衛生法88条3項の届出
建設工事計画届は、労働安全衛生法88条3項にもとづく届出です。条文では、建設業などの事業者が、厚生労働省令で定める仕事を開始しようとするときは、その計画を仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。
労働安全衛生法88条には、似た届出が3つ並んでいます。名前が近いので、先に分けておきます。
| 届出 | 根拠 | 期限 | 出す先 |
|---|---|---|---|
| 機械等設置届(足場・型枠支保工など) | 88条1項 | 工事開始の30日前まで | 労働基準監督署長 |
| 特に大規模な仕事の計画届 | 88条2項 | 仕事開始の30日前まで | 厚生労働大臣 |
| 建設工事計画届 | 88条3項 | 仕事開始の14日前まで | 労働基準監督署長 |
建設工事計画届の様式は、2項の大臣あての届出と同じ様式第21号です(安衛則91条1項・2項)。様式が同じでも、期限と出す先が違うので、どちらに当たるかを先に決めてから書き始めます。
届出を出すのは元請
建設工事計画届を出すのは、仕事を行う事業者です。ただし労働安全衛生法88条5項により、仕事が数次の請負契約で行われる場合は、仕事を自ら行う発注者がいればその発注者、いなければ元請負人が出し、それ以外の事業者には適用されません。下請の会社が自分で出す届出ではない、という点がポイントです。
建設工事計画届の対象|安衛則90条の仕事
建設工事計画届の対象は、労働安全衛生規則90条に列挙された仕事です。建設の現場でよく当たるものを先に並べ、残りを後に置きます。
| 号 | 対象になる仕事 |
|---|---|
| 1号 | 高さ31mを超える建築物または工作物(橋梁を除く)の建設、改造、解体または破壊(建設等) |
| 2号 | 最大支間50m以上の橋梁の建設等 |
| 2号の2 | 最大支間30m以上50m未満の橋梁の上部構造の建設等(人口が集中している地域内の道路上や道路に隣接した場所、鉄道の軌道上や軌道に隣接した場所で行われるもの) |
| 3号 | ずい道等の建設等(内部に労働者が立ち入らないものを除く) |
| 4号 | 掘削の高さまたは深さが10m以上の地山の掘削の作業(掘削機械を使い、掘削面の下方に労働者が立ち入らないものを除く) |
| 5号 | 圧気工法による作業 |
| 5号の2 | 建築物・工作物・鋼製の船舶に吹き付けられている石綿等の除去、封じ込めまたは囲い込みの作業 |
| 5号の3 | 張り付けられている石綿等を使った保温材、耐火被覆材などの除去、封じ込めまたは囲い込みの作業(粉じんを著しく発散するおそれのあるもの) |
| 5号の4 | 一定規模以上の廃棄物焼却炉を持つ焼却施設の、焼却炉や集じん機などの設備の解体等 |
| 6号・7号 | 土石の採取のための掘削(10m以上)や坑内掘り |
「31mを超える」は31mちょうどを含まない
1号は「高さ31メートルを超える」なので、31mちょうどの建物は対象になりません。4号の掘削は「10メートル以上」なので、10mちょうどで対象になります。「超える」と「以上」が号ごとに違うので、境目の数字の工事では条文の言葉をそのまま確かめます。
1号は建設だけでなく、改造、解体、破壊も含みます。高さ31mを超える建物の解体工事も、建設工事計画届の対象です。
除外の書き方を読み落とさない
建設工事計画届の対象の号には、かっこ書きで「除く」ものが付いているものがあります。読み落としやすいのは次の3つです。
- 3号のずい道等は、内部に労働者が立ち入らないものを除く
- 4号の地山の掘削は、掘削機械を用いる作業で、掘削面の下方に労働者が立ち入らないものを除く。深さ10m以上でも、この条件なら外れる
- 2号の2の橋梁(最大支間30m以上50m未満)は、上部構造の建設等で、しかも人口が集中している地域内の道路や鉄道の上・隣接した場所で行われるものに限る
除外に当たるかどうかは、施工方法が決まらないと判断できません。施工方法を決める打合せの場で、届出の要否も一緒に決めると、あとから「やはり要る」となるのを防げます。
石綿の除去でも届出が要る
5号の2と5号の3は、建物の高さに関係なく、石綿等の除去などの作業そのものが対象です。吹付け石綿の除去や、粉じんを著しく発散するおそれのある保温材・耐火被覆材の除去を行う場合は、小さな建物でも建設工事計画届が要ります。事前調査の流れは石綿の事前調査結果報告の記事で扱っています。
建設工事計画届は何日前?14日前と30日前の違い
建設工事計画届の期限は、仕事の開始の日の14日前までです。これに対して、同じ労働安全衛生法88条でも、1項の機械等設置届と2項の大規模な仕事の計画届は30日前までです。
ここで迷いやすいのが、1つの工事で両方に当たる場合です。高さ31mを超える建物を、高さ10m以上の足場を60日以上組んで建てるなら、建設工事計画届(14日前)と機械等設置届(30日前)の両方が要ります。先に来るのは30日前の機械等設置届です。機械等設置届の線引きは足場設置届の出し方にまとめています。
「仕事の開始の日」はいつか
期限を数える起点は「仕事の開始の日」です。準備工や仮設工事を含めて、いつを開始の日とするかは工事の内容で変わります。着工日を後ろにずらして期限を作るより、早めに所轄へ相談して開始の日の考え方をそろえておくほうが、出し直しを避けられます。
建設工事計画届の様式第21号に書くこと
建設工事計画届の様式第21号は、建設工事と土石採取で共用の様式です。表題の「建設工事」と「土石採取」のうち、該当しない文字を消して使います。主な欄は次のとおりです。
- 事業の種類(備考の区分から選ぶ。例:鉄骨鉄筋コンクリート造家屋建設工事、道路建設工事)
- 事業場の名称、仕事を行う場所の地名番号
- 仕事の範囲(安衛則90条の各号の区分で書く)
- 発注者名、工事請負金額
- 仕事の開始予定年月日、終了予定年月日
- 計画の概要
- 参画者の氏名、参画者の経歴の概要
- 主たる事務所の所在地、使用予定労働者数
- 関係請負人の予定数、関係請負人の使用する労働者の予定数の合計
「仕事の範囲」は、自由に書く欄ではなく、安衛則90条の号の区分で書くと様式の備考に書かれています。1号の建築物なのか、4号の掘削なのかを、条文の号で特定して書きます。複数の号に当たる場合の書き方は、所轄に確かめてください。
参画者の欄は空けられない
様式第21号には「参画者の氏名」と「参画者の経歴の概要」の欄があります。建設工事計画届の多くは、計画の作成に有資格者を参画させる必要があるためです(後の節で説明します)。参画者が決まらないと届書が完成しないので、14日前から逆算すると、参画者の手配がいちばん早く手を付けるべき作業になります。
計画の概要の欄は短く、詳しくは添付へ
様式第21号の「計画の概要」の欄は広くありません。一般には、建物の構造・階数・高さ、掘削の深さ、主な工法といった、どの号に当たるかの根拠になる数字を短く書き、詳しい内容は添付書類の工法の概要や工程表に回す形がとられています。
欄に書いた数字と、添付した図面の数字が食い違っていると、確認に時間がかかります。高さや深さは、設計図書の値と、届出に書く値を同じ出どころからとるようにしておくと、提出したあとの照会が減ります。
建設工事計画届の添付書類|安衛則91条の6点
建設工事計画届の添付書類は、労働安全衛生規則91条1項に6つ並んでいます(2項で3項の届出に準用)。
- 仕事を行う場所の周囲の状況及び四隣との関係を示す図面
- 建設等をしようとする建設物等の概要を示す図面
- 工事用の機械、設備、建設物等の配置を示す図面
- 工法の概要を示す書面又は図面
- 労働災害を防止するための方法及び設備の概要を示す書面又は図面
- 工程表
圧気工法による作業を行う仕事では、これに加えて圧気工法作業摘要書(様式第21号の2)を添えます。その場合、6点の書類のうち摘要書と重なる記載事項は書かなくてよいとされています。
添付書類は施工計画書から起こす
一般には、添付書類を届出のために一から作るより、施工計画書や仮設計画図から必要な部分を抜き出して整える形が多く取られています。周囲の状況の図面は近隣との関係(道路・鉄道・隣地の建物)が分かるもの、配置図はクレーンや仮設の位置が分かるもの、と目的を決めてから選ぶと、余分な図面を付けずに済みます。
労働災害を防止するための方法の書面は、工事安全衛生計画書や作業計画書と中身が重なります。届出に書いた防止策と、現場で回す計画書の中身をそろえておくと、あとで監督署の確認を受けたときに説明がぶれません。
建設工事計画届 対象判定チェックリスト(様式第21号・添付書類)
建設工事計画届(労働安全衛生法88条3項・様式第21号)が要るかを、労働安全衛生規則90条の号ごとに確かめ、要る場合は91条の添付書類6点と参画者の手配までを1枚で追えるチェックリストです。
Excelを見る・ダウンロード建設工事計画届の参画者|計画づくりに加わる有資格者
建設工事計画届の計画を作るときは、労働安全衛生法88条4項により、厚生労働省令で定める資格を有する者を参画させなければなりません。対象は安衛則92条の2第2項で、90条1号から5号までの仕事(1号から3号は建設の仕事に限る)とされています。
参画者の資格は、安衛則別表第9で仕事の区分ごとに決まっています。例えば、90条1号の建築物の建設の仕事(ダムを除く)では、次のどれかに当たる人とされています。
- 理科系の大学などを卒業後10年以上、または高校などを卒業後15年以上、建築工事の設計監理または施工管理の実務経験があるか、一級建築士の免許を受けることができる人で、かつ建設工事の安全衛生の実務に3年以上従事したか、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う研修を修了した人
- 労働安全コンサルタント試験に合格した人で、試験の区分が建築の人
- その他厚生労働大臣が定める人
ずい道、橋梁、圧気工法、地山の掘削などの仕事は、土木側の区分になり、一級土木施工管理技術検定の合格や技術士(建設部門)などが要件に入ります。仕事の種類で求められる経歴が違うので、別表第9のどの行に当たるかを先に決めてから人を探します。
参画者の経歴の概要に書くこと
様式第21号の「参画者の経歴の概要」には、別表第9のどの要件に当たるかが読み取れるように書きます。例えば、学歴と実務経験年数で要件を満たす人なら、卒業した課程、設計監理や施工管理に従事した年数、安全衛生の実務の年数(または修了した研修)を並べます。要件の文言と同じ並びで書くと、受け付ける側が照らし合わせやすくなります。
社内に該当者がいない場合は、労働安全コンサルタントなど外部の有資格者に参画を依頼することになります。依頼先が見つかってから図面の打合せを重ねる時間も要るので、14日前の期限より前に、参画者が計画づくりに加われる日程を確保しておきます。
建設工事計画届の出し方と最近の動き
建設工事計画届は、所轄の労働基準監督署長あてに出します。出したあとも、労働安全衛生法88条6項により、届出の内容が法令に違反すると認められる場合は、仕事の開始の差止めや計画の変更を命じられることがあります。届出の義務に違反した場合は、同法120条で50万円以下の罰金の対象とされています。
| いつ | やること |
|---|---|
| 30日前 | 安衛則90条の号に当たるかを判定し、別表第9の区分を決めて参画者を手配する |
| 21日前 | 添付書類6点のもとになる施工計画書・仮設計画図をそろえる |
| 16日前 | 様式第21号を書き、参画者の経歴の概要を確かめる |
| 14日前 | 所轄の労働基準監督署へ提出 |
条文は2022年から変わっていないが、周りは動いている
e-Gov法令検索で、2023年1月時点と2026年10月時点の条文を比べると、労働安全衛生法88条と労働安全衛生規則90条・91条・92条の2の文言は変わっていません。建設工事計画届そのものの対象や期限は、ここ数年同じです。
一方で、労働安全衛生法は2025年5月14日に改正法(令和7年法律第33号)が公布され、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進などが盛り込まれました。施行は主に2026年4月1日からで、一部は別の日です。建設の現場では一人親方などの個人事業者が多く働くため、届出の様式に書く「使用予定労働者数」とは別に、現場で働く人全体の安全対策を計画にどう書くかも、あわせて考えておくと、改正後の運用に合わせやすくなります。改正の細部は、厚生労働省の改正法のページで確認してください。
まとめ
建設工事計画届は、労働安全衛生法88条3項にもとづき、安衛則90条の仕事(31mを超える建築物等の建設等、最大支間50m以上の橋梁、ずい道等、10m以上の地山の掘削、圧気工法、石綿等の除去など)を始める日の14日前までに、所轄の労働基準監督署長へ出す届出です。様式は第21号で、数次請負の場合に出すのは元請です。
添付書類は、周囲の状況、建設物等の概要、機械や設備の配置の3つの図面と、工法の概要、労働災害の防止の方法、工程表の6点です。90条1号から5号の仕事は有資格者の参画が要るので、14日前から逆算して、号の判定と参画者の手配を最初に済ませておくと期限に間に合います。
よくある質問
建設工事計画届は何日前に出しますか
労働安全衛生法88条3項により、仕事の開始の日の14日前までです。同じ条文の1項(機械等設置届)と2項(特に大規模な仕事の計画届)は30日前までなので、混同しないように注意します。
高さ31mちょうどの建物は対象ですか
安衛則90条1号は「高さ三十一メートルを超える」と書いているので、31mちょうどは対象になりません。高さの測り方は所轄の労働基準監督署に確認してください。
建設工事計画届は下請も出しますか
数次の請負で行われる仕事では、仕事を自ら行う発注者がいなければ元請負人が出し、それ以外の事業者には適用されません(労働安全衛生法88条5項)。
解体工事でも建設工事計画届は要りますか
安衛則90条1号の「建設等」は、建設、改造、解体、破壊を含みます。高さ31mを超える建築物の解体は対象です。石綿等の除去などの作業は、高さに関係なく5号の2・5号の3に当たる場合があります。
添付書類は何を付けますか
安衛則91条の6点です。周囲の状況と四隣との関係の図面、建設物等の概要の図面、工事用の機械や設備の配置の図面、工法の概要、労働災害を防止する方法と設備の概要、工程表です。圧気工法の仕事は様式第21号の2の摘要書も添えます。
様式第21号はどこで手に入りますか
様式は労働安全衛生規則に定められていて、厚生労働省や各都道府県労働局のホームページに掲載されています。記載例を出している労働局もあるので、所轄の労働局のページで確認すると早く済みます。
建設工事計画届 対象判定チェックリスト(様式第21号・添付書類)
建設工事計画届(労働安全衛生法88条3項・様式第21号)が要るかを、労働安全衛生規則90条の号ごとに確かめ、要る場合は91条の添付書類6点と参画者の手配までを1枚で追えるチェックリストです。
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