日報をExcelで管理する方法|集計しやすい表の作り方
目次
日報をExcelで管理している現場は多くありますが、作り方によって、あとから集計できるかどうかが分かれます。日付を横に並べた表にしてしまうと、月をまたいだ集計も、工種別の集計もできません。
この記事では、日報をExcelで管理する方法を、表の作り方から入力の仕組み、集計のやり方まで説明します。Excelを否定せず、Excelのままどこまでやれるかを書きます。
結論:日報のExcelは「1行1レコード」で作る
日報をExcelで管理するときの最重要ポイントは、表の形です。1行に1件のデータを入れる縦持ちの形にすると、集計が一気に楽になります。
| 形 | 特徴 | 集計 |
|---|---|---|
| 横持ち(日付を横に並べる) | 見た目が日報らしい | 月をまたぐと集計できない |
| 縦持ち(1行1レコード) | 見た目は台帳のよう | ピボットテーブルで自由に集計できる |
ポイントはここです。「入力する表」と「見せる表」を分ける。入力は縦持ちの台帳、印刷や提出は別シートで日報の形に整える、という二段構えにすると両立します。
日報Excelの列の作り方
基本の列
| 列 | 入力形式 | 備考 |
|---|---|---|
| 日付 | 日付 | 入力規則で範囲を制限 |
| 現場名 | リスト選択 | 表記ゆれ防止 |
| 会社名 | リスト選択 | 同上 |
| 職種 | リスト選択 | 同上 |
| 工種 | リスト選択 | 集計の軸になる |
| 場所・工区 | 文字 | 「2階east」など |
| 数量 | 数値 | 数値のみに制限 |
| 単位 | リスト選択 | m2、m3、t、箇所 など |
| 人数 | 数値 | 集計の軸になる |
| 作業時間 | 数値 | 実働時間 |
| 手待ち時間 | 数値 | 原価分析に使う |
| 手待ち理由 | リスト選択 | 材料/前工程/機械/指示待ち |
| 天候 | リスト選択 | 晴/曇/雨/雪 |
| 特記事項 | 文字 | 自由記入はここだけ |
リスト選択にする理由
会社名や工種を手入力にすると、必ず表記がゆれます。「A建設」「A建設(株)」「株式会社A建設」が混ざると、集計で3社に分かれます。
入力規則の「リスト」を使って選択式にするだけで、この問題はなくなります。マスタ用のシートを1枚作り、そこに現場名・会社名・工種・単位の一覧を置いておきます。
手待ち理由を列にする理由
手待ちは原価に直結しますが、自由記入だと集計できません。理由を4〜5種類のリストにしておくと、月末に「材料未着が何時間」という形で出せます。
日報Excelの入力を楽にする設定
設定1:入力規則で選択式にする
現場名、会社名、職種、工種、単位、天候、手待ち理由をすべてリストにします。入力の速さと正確さが同時に上がります。
設定2:テーブル機能を使う
範囲をテーブルにしておくと、行を追加したときに書式と数式が自動で広がります。ピボットテーブルの参照範囲も自動で伸びます。
設定3:数量列に条件付き書式を入れる
数量が空欄の行に色を付けると、入力漏れがひと目で分かります。
設定4:入力用シートと保管用シートを分ける
日々の入力は1枚のシートに追記し続け、月ごとにシートを分けないほうが集計しやすくなります。データが増えても、Excelは数万行までなら問題なく扱えます。
設定5:ファイルを共有フォルダに置く
個人のパソコンに置くと、担当者が休んだ日に誰も開けません。共有フォルダかクラウドストレージに置きます。
日報Excelでの集計のやり方
ピボットテーブルで出せるもの
縦持ちで入力していれば、ピボットテーブルで次の集計がすぐ出せます。
| 集計 | 行 | 列 | 値 |
|---|---|---|---|
| 会社別の月間人工 | 会社名 | 月 | 人数の合計 |
| 工種別の進捗 | 工種 | ー | 数量の合計 |
| 手待ちの原因別時間 | 手待ち理由 | 月 | 手待ち時間の合計 |
| 現場別の人工 | 現場名 | 月 | 人数の合計 |
| 天候別の稼働日数 | 天候 | 月 | 日付の個数 |
この5つが出せれば、進捗管理と原価管理の材料はそろいます。
出来高につなげる
工種別の数量が出れば、単価をかけて出来高が計算できます。工種と単価の対応表を別シートに置いておくと、集計から自動で出せます。
月次報告に使う
集計結果をグラフにして月次報告に貼れば、報告書の作成時間が短くなります。日報から報告書まで、転記なしでつながるのが理想の形です。
紙の日報からExcelへ入力する場合
現場は紙、集計はExcelという形も現実的です。その場合、全項目を入力する必要はありません。
入力するのは、集計に使う項目だけにします。
- 日付、現場、会社、工種、数量、単位、人数、手待ち時間・理由
特記事項や作業時間の詳細は、紙のまま綴じておけば足ります。全部を入力しようとすると、入力する人が続きません。
日報Excelが苦しくなるサイン
| サイン | 起きていること |
|---|---|
| ファイル名に「最新」が並ぶ | 版が分からなくなっている |
| 「今開いていますか」の確認が毎日ある | 同時編集ができていない |
| 現場から紙やメールで送ってもらっている | 入力の手間が集中している |
| 入力が2日以上遅れる | 追いつかなくなっている |
| 数式が壊れて誰も直せない | 属人化している |
入力が常に遅れているなら、道具を変える検討に入る時期です。判断の目安はExcel管理とシステム管理の違い、選び方は日報アプリの選び方にまとめました。
Excel日報の集計を実際にやってみる
縦持ちで日報を入力していれば、集計は数分で終わります。手順を一度覚えれば、毎月同じ操作で済みます。
会社別の月間人工を出す
- 入力シートの範囲を選ぶ
- 「挿入」→「ピボットテーブル」を選ぶ
- 行に「会社名」、列に「月」、値に「人数の合計」を置く
- 必要なら、フィルタに「現場名」を置いて現場ごとに絞る
これだけで、会社別・月別の人工が出ます。実行予算の労務費・外注費と比べると、想定より人がかかっている工種が見えます。
工種別の数量を出す
行に「工種」、値に「数量の合計」を置きます。単位が混ざっていると合計が意味を持たないので、フィルタに「単位」を置いて単位ごとに見ます。
ここで単位が混ざっているなら、入力規則のリストが機能していないサインです。マスタを見直します。
手待ちの原因別時間を出す
行に「手待ち理由」、値に「手待ち時間の合計」を置きます。1か月ぶんを見ると、原因が偏っていることが分かります。
材料の未着が突出しているなら発注のリードタイム、前工程の遅れが多いなら工程の組み方、指示待ちが多いなら判断の権限の置き方に原因があります。
出来高を計算する
工種と単価の対応表を別シートに作り、工種別の数量に単価をかけます。この対応表は実行予算から作れるので、新しく作る必要はありません。
数式を使えば、ピボットの結果に単価を掛けるだけで出来高が出ます。
更新のしかた
翌月も同じ操作をやり直す必要はありません。入力シートに行を足したあと、ピボットテーブルを右クリックして「更新」を選べば、集計が最新になります。
範囲をテーブルにしておくと、行を足したときに参照範囲が自動で広がるため、更新だけで済みます。
グラフにして報告に使う
ピボットの結果からグラフを作れば、月次報告にそのまま貼れます。日報から報告書まで、転記なしでつながるのが理想の形です。ここまで来ると、月末の作業時間がはっきり変わります。
日報Excelでよくある失敗
| 失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 日付を横に並べる | 月またぎの集計ができない | 縦持ち(1行1レコード)にする |
| 会社名を手入力 | 表記ゆれで集計が壊れる | 入力規則のリストにする |
| 月ごとにシートを分ける | 通年の集計ができない | 1枚に追記していく |
| 数量を文字で入力 | 合計が出せない | 数値のみに制限する |
| 全項目を入力する | 入力が追いつかない | 集計に使う項目だけにする |
| 個人PCに置く | 休むと誰も開けない | 共有フォルダに置く |
よくある質問
Excelの日報は何行まで大丈夫ですか
数万行までなら実用上の問題は出にくいですが、数式を大量に入れると重くなります。集計はピボットテーブルで行い、表そのものには数式をあまり入れないほうが軽く保てます。
印刷用の日報の形も必要です
入力用の縦持ちシートとは別に、印刷用のシートを1枚作り、日付を指定すると該当行を表示する形にすると両立できます。関数で参照するか、フィルタで抽出する方法があります。
共有の表計算サービスに移したほうがいいですか
複数人が同時に入力する、現場のスマホから入力する、という要件があるならそちらが向いています。逆に、複雑な集計や印刷レイアウトを作り込むならExcelのほうが扱いやすい場面が多くあります。
日報の入力を協力会社にやってもらえますか
やってもらっている現場もありますが、入力できる環境と操作の習熟が前提になります。難しい場合は、紙で提出してもらい、元請側で集計項目だけ入力する形が現実的です。
日報Excelのファイルはどこに置きますか
共有フォルダかクラウドストレージです。個人のパソコンに置くと、担当者が休んだ日に誰も開けません。あわせて、週1回、日付を付けたコピーを別フォルダに残しておくと、壊れたときに戻せます。
複数の現場を1つのファイルで管理できますか
できます。現場名の列を入れておけば、ピボットテーブルで現場ごとに絞り込めます。現場ごとにファイルを分けると、通年の集計や現場間の比較ができなくなります。
数式が壊れて集計が合いません
入力欄以外に保護をかけていないことが原因のことが多くあります。シートの保護を使い、入力するセルだけロックを外す設定にしておくと、この事故は起きません。すでに壊れている場合は、バックアップから復旧します。
入力を協力会社にやってもらえますか
環境と操作の習熟が前提になります。難しい場合は、紙で提出してもらい、元請側で集計項目だけ入力する形が現実的です。全項目を入力する必要はありません。
過去のデータはどのくらい残しますか
同じシートに追記していけば、数万行までは実用上の問題は出にくくなります。通年・複数年のデータがあると、次の現場の見積や工程の精度が上がります。重くなってきたら、年度でファイルを分けます。
集計結果を月次報告にどう使いますか
ピボットの結果からグラフを作り、報告書に貼ります。日報から報告書まで転記なしでつながるのが理想の形です。工種別の数量と進捗率が出せれば、報告書の中心部分はそれで足ります。
入力する人が複数いる場合はどうしますか
Excelは同時編集ができないため、入力する人を1人に絞るか、表計算の共有サービスを検討することになります。人数分のファイルを分けて後で結合する方法もありますが、手間が増えます。
まとめ
日報をExcelで管理する方法は、1行1レコードの縦持ちで作るのが基本です。この形にしておけば、ピボットテーブルで会社別の人工、工種別の数量、手待ちの原因別時間がすぐ出せます。
入力を楽にするには、現場名・会社名・工種・単位・天候・手待ち理由を入力規則のリストにします。紙の日報から入力する場合は、全項目ではなく集計に使う項目だけに絞ります。入力が常に2日以上遅れる状態になったら、道具を見直す時期です。