書類・帳票・記録実務(ピラー)2026.08.27 公開NP-01

工事日報の書き方|記載項目と職種別の記入例

目次

工事日報は、毎日書くものなのに「何をどこまで書けばいいか」が決まっていない現場が多くあります。書く人によって粒度がバラバラで、後から読んでも状況が分からない。そうなると、書く側も「意味がないのでは」と感じ始めます。

この記事では、工事日報の記載項目を省略せずに全部並べたうえで、職種別の記入例を7つ載せます。あわせて、そのまま出すと差し戻される書き方と、直した形を対で示します。読んだあと、今日の日報がそのまま書ける状態を目指しています。

集めた日報の活かし方は「現場日報の管理方法」で扱っています。

結論:工事日報は「後から使う場面」から逆算して書く

工事日報が形だけになる原因は、何のために書いているかが共有されていないことです。日報が実際に使われる場面は、次の4つです。

使う場面必要になる項目抜けたときに起きること
進捗の把握・工程の判断作業内容、数量、進捗遅れに気づくのが月末になる
原価の説明・追加請求人員、手待ち、追加作業かかった費用を説明できない
発注者への報告作業内容、写真、天候報告書を作るのに別途聞いて回る
災害・トラブル時の確認参加者、指示事項、特記事項誰がその場にいたか分からない

ポイントはここです。数量と人員が入っていない日報は、後から使えません。逆に、この2つさえ確実に入っていれば、他が簡素でも役に立ちます。

日報は「後から使う場面」から逆算する進捗の把握原価の説明発注者への報告災害時の確認工事日報
日報の各項目が、進捗管理・原価管理・報告・災害対応のどこで使われるかを線で結んだ図

工事日報と作業日報・安全日誌の書き分け

3つは内容が重なるため、書き分けを決めておかないと二度手間になります。

工事日報作業日報安全日誌
書く人元請の現場担当者職長(協力会社)元請の現場担当者
範囲現場全体自社作業分現場全体の安全
主な内容作業、数量、人員、進捗、指示自社の作業、人員、時間KY、点検、巡視、指摘と是正
主な読み手発注者、社内の工務元請、自社社内の安全担当、労基署
何が根拠になるか出来高・追加請求労務費安全管理の実施

作業日報を集めて工事日報を作る流れにしている現場が多くあります。詳しくは作業日報の書き方で扱います。

工事日報の記載項目【全一覧】

「主な項目」で省略すると、抜けた項目が後から効いてきます。実際に使われている様式に載っている項目を、全部並べます。

基本情報

項目書く内容落としやすい点
日付・曜日年月日と曜日曜日を入れると、後で稼働日を数えるときに使える
天候午前・午後を分けて。気温、風、降水1日1つにすると、午後から中止した根拠が残らない
現場名・工事番号契約上の名称と社内の現場コード掛け持ちでは工事番号が無いと原価が混ざる
工区・階・通り作業した場所「2階」だけでは後から特定できない
作成者書いた人の氏名承認欄と別に、書いた人を残す
承認上長・監督員の確認提出先が決まっていない日報は溜まる

人員・機械・材料

項目書く内容落としやすい点
入場者数会社別・職種別の人数一人親方を数え忘れる
作業員の氏名全員の氏名人数だけだと災害時に誰がいたか分からない
作業時間開始・終了、休憩残業した日は理由も添える
使用機械機種・規格・台数レンタルは返却予定日も書くと原価が読める
使用材料種類・規格・数量搬入した量と使った量を分ける
搬入・搬出品名、数量、台数、時刻残土・廃材の搬出台数は後から数えられない

作業と進捗

項目書く内容落としやすい点
作業内容工種+場所+工法「内装工事」では粗すぎる
数量当日実施分/全体最も落としやすい。ここが空欄だと日報が資料にならない
進捗率予定に対する状況遅れているときは理由も書く
手待ち・中断時刻、理由、影響した人数原価と工程の説明の根拠になる
翌日の予定作業内容と人員段取りの記録になる

安全・品質

項目書く内容落としやすい点
KY活動実施の有無、重点項目安全日誌と重複してよい
作業開始前点検実施の有無、対象異常があった日は措置も書く
検査・立会種類、立会者、結果監督員の氏名を残す
写真撮影箇所と枚数隠れる部分を撮った日は必ず書く

特記・連絡

項目書く内容落としやすい点
指示事項日付、指示者、内容口頭の指示ほど書く。後の交渉材料になる
追加・変更作業発生日、内容、想定増加書面が後追いになりがち
近隣対応申し入れ、対応、結果苦情は工程にも効く
事故・ヒヤリハット発生時刻、内容、措置無い日は「なし」と書く
来訪者氏名、所属、用件監査・パトロールの記録になる
点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

日報の様式が現場ごとにバラバラだと集計できません。全社で同じ様式を使いたい方は、業種別にそろっている点検板をご覧ください。

点検板で様式をさがす

工事日報の記入例【職種別に7つ】

自分の職種に近いものを見たほうが早いので、7つ並べます。数量の書き方と、手待ちの書き方に注目してください。

記入例1:内装工事(天井下地)

  • 日付・天候:2026年8月27日(木)/午前 晴れ・32度/午後 晴れ・34度
  • 現場・工区:◯◯ビル新築工事(2601)/2階東 X3〜X7通り
  • 作業内容:天井下地組み(軽量鉄骨 LGS 19形)、吊りボルト@900
  • 数量:120m2(累計 120/300m2 40%)
  • 人員:元請2名/A内装3名(山田・佐藤・鈴木) 計5名
  • 作業時間:8:00〜17:00(休憩 12:00〜13:00、15:00〜15:15)
  • 使用機械:可搬式作業台2台、電動ドライバー3台
  • 使用材料:LGS 19形 一式(搬入 200m2分/使用 120m2分)
  • 手待ち・中断:なし
  • 指示事項:8/27 監督員(田中様)より、2階東 照明位置を東寄りへ200mm変更(口頭。図面差し替えは後日)
  • 翌日の予定:2階東 天井下地継続(A内装3名)

記入例2:土工事(根切り・搬出)

  • 作業内容:敷地北側 根切り(GL-2.5m)、ダンプ搬出
  • 数量:掘削 85m3(累計 85/240m3 35%)/搬出 10tダンプ 8台
  • 人員:B土木2名+オペレーター1名 計3名
  • 使用機械:バックホウ0.45m3 1台(レンタル、返却予定 9/15)
  • 手待ち・中断:10:30〜11:00 ダンプ待ちにより30分中断(3名)
  • 特記事項:北側 GL-1.8m で古い基礎(コンクリート塊 約2m3)を確認。監督員へ報告し、撤去費の扱いを協議予定。発生時の写真6枚を撮影

記入例3:鉄筋・型枠(躯体)

  • 作業内容:3階西 梁配筋、柱型枠建込み
  • 数量:配筋 4.2t(累計 18.6/52.0t 36%)/型枠 建込み 180m2
  • 人員:C鉄筋4名/D型枠5名 計9名
  • 検査・立会:14:00〜15:00 配筋検査(監督員 田中様、当社 佐藤)。是正1件(X5通り 梁上端筋のかぶり不足)→ その場で修正、15:20に再確認して合格
  • 写真:配筋 全景4枚・近景12枚(かぶりスケール入り)、是正前後2枚

記入例4:電気工事

  • 作業内容:3階 幹線配線(CVT38sq)、分電盤2面 取付
  • 数量:配線 1系統完了/盤 2面(累計 5/12面)
  • 人員:E電設2名
  • 使用機械・工具:脚立2台、仮設電源、絶縁抵抗計
  • 検査:絶縁抵抗測定 3階分 完了(全回路 10MΩ以上)
  • 特記事項:3階西 廊下で電工ドラムのコードが通路を横断。11:00にモール養生へ変更

記入例5:設備配管

  • 作業内容:1階 給排水配管(VP75)、勾配確認
  • 数量:配管 32m(累計 32/140m 23%)
  • 人員:F設備2名
  • 手待ち・中断:13:00〜14:30 支給材(継手VP75×2種)未着により中断(2名)。 発注先へ確認済み、8/28午前着の見込み
  • 翌日の予定:材料着後に継続。着かない場合は2階の墨出しへ振替

記入例6:解体工事

  • 作業内容:既存棟 内部解体(1階 間仕切り・天井)
  • 数量:解体 220m2(累計 220/560m2 39%)/廃材搬出 4tダンプ 5台(混合廃棄物)
  • 人員:G解体6名
  • 使用機械:ミニ油圧ショベル0.1m3 1台、小型ブレーカー2台
  • 安全:上下作業なし。粉じん対策として散水を随時実施
  • 特記事項:天井裏でスレート材を確認。作業を中止し、監督員へ報告。事前調査の記録と照合中

記入例7:舗装・外構

  • 作業内容:駐車場 路盤工(RC-40 t=150)、転圧
  • 数量:路盤 320m2(累計 320/780m2 41%)
  • 人員:H土木3名+オペレーター1名
  • 使用機械:タイヤローラー1台、振動ローラー1台
  • 品質:路盤厚を5か所測定(150/152/148/151/149mm)。規格値内
  • 天候:午後15:30より降雨。16:00で作業中止(転圧不可のため)

そのまま出すと差し戻される書き方と、直した形

差し戻しは、たいてい同じ場所で起きます。悪い例だけを示しても直らないので、直した形を対で並べます。

項目差し戻される書き方直した形
作業内容内装工事2階東 X3〜X7 天井下地組み(LGS 19形、吊りボルト@900)
数量順調に進んだ120m2(累計 120/300m2 40%)
人員5人元請2名/A内装3名(山田・佐藤・鈴木) 計5名
手待ち少し待ちがあった13:00〜14:30 支給材未着により中断(2名)
指示事項変更の指示あり8/27 監督員(田中様)より、照明位置を東寄りへ200mm変更(口頭)
天候晴れ午前 晴れ32度/午後 15:30より降雨、16:00作業中止
特記事項特になしなし(※空欄にせず「なし」と書く)
所感段取りが悪かった(所感は書かない。事実と数値だけにする)

最後の行が要点です。工事日報は報告書なので、主観の評価を書くと、読む側が事実と意見を切り分けられなくなります。「段取りが悪かった」ではなく「材料未着で2名が1時間30分手待ち」と書きます。

5分で書き終える型

記載項目を全部書くと重そうに見えますが、時間がかかっているのは書く作業ではなく、思い出す作業です。次の5つで実際に短くなります。

型1:昼と夕方の2回に分けてメモする

1日ぶんを夕方に思い出そうとすると時間がかかります。昼休みに午前分を短くメモし、夕方に午後分を足して清書します。合計時間が半分近くになります。

型2:選択式にできる欄は選択式にする

天候、作業可否、KY実施、点検実施、手待ちの理由。これらは丸を付けるか選ぶだけにします。自由記入は「指示事項」と「特記事項」の2欄だけにすると5分で書けます。

型3:数量の単位を様式に印字しておく

工種ごとに使う単位(m2・m3・t・箇所・系統・台)を印字しておくと、書く側が迷いません。単位が揃うと、元請側で集計できるようになります。

型4:作業日報から転記しない

職長の作業日報をそのまま添付し、工事日報には現場全体の要約と、全体に関わる事項だけを書きます。転記がなくなり、転記ミスも消えます。

型5:終業前15分を固定する

翌朝に回すと、人員と作業内容が曖昧になります。「16:45から15分」と時刻で決めるほうが、「終業前に」より守られます。

5分で書き終える形にする夕方にまとめて書く1日ぶんを思い出す自由記入が多い単位が人によって違う15分以上かかる型を決めて書く昼と夕方の2回に分ける選択式の欄を増やす単位を様式に印字する5分で収まる
昼と夕方の2回メモ、選択式の欄、単位の印字を並べて、記入時間がどう縮むかを示した図

Excelで工事日報を作るときの形

Excelで作る場合、日付を横に並べると月をまたいだ集計ができなくなります。 1行1レコードの縦持ちにします。

日付現場工種場所数量単位会社人数手待ち時間手待ち理由天候特記事項

この形なら、ピボットテーブルで次がすぐ出せます。

  • 会社別・月別の人工(行=会社名、列=月、値=人数の合計)
  • 工種別の数量(行=工種、値=数量の合計)
  • 手待ちの原因別時間(行=手待ち理由、値=手待ち時間の合計)

現場名・会社名・工種・単位・手待ち理由は入力規則のリストにします。「A建設」「A建設(株)」が混ざると、集計で別会社に分かれます。詳しくは日報をExcelで管理する方法で扱います。

工事日報の提出先・承認・保存

誰が書いて、誰に出すか

元請の現場担当者が書き、社内は工務・上長、社外は発注者(監督員)へ提出します。提出先と締切の時刻を1つに決めると、溜まりません。

保存期間

工事日報そのものの保存期間は、法令で一律に定められているわけではありません。ただし、建設業法では帳簿とその添付書類が原則5年、完成図や工事内容に関する発注者との打合せ記録などの営業に関する図書が10年とされています。

日報に記載した発注者からの指示や協議の内容が、この「打合せ記録」に当たることがあります。どの書類が該当するかは個別の判断になるため、迷う場合は行政書士や許可行政庁の窓口に確認してください。年数の一覧は工事書類の保存期間と保存方法にまとめました。

起算点は、建設工事の目的物の引渡しをしたときです。工事完了時点ではありません。

工事日報を報告と原価につなげる

日報は書いて綴じるだけでは半分しか使えていません。日報の数字がそのまま報告書と原価の材料になる形にしておくと、月末の作業がまとめて短くなります。

  • 月次報告:その月の日報を並べ、工種ごとに数量を合計して予定と比べる。写真を数枚添えれば報告書になる
  • 原価の説明:手待ち・やり直し・応援・追加作業は数字に表れず、日報にしか残らない
  • 追加請求:発生日の日報に、日付・指示者・内容・想定される増加額を書いておく
  • 工程の判断:数量を週1回工程表へ反映し、遅れの原因を人・材料・前工程・天候の4つに分ける

工事日報でよくある失敗

失敗起きること直し方
数量を書かない進捗も出来高も出せない単位を印字して必須にする
作業内容が粗い後から場所が分からない工種+場所+工法まで書く
手待ちを書かない原価の説明ができない時刻・理由・人数の3点で書く
追加作業を口頭のままにする請求できない発生日に日付と指示者名を書く
所感・反省を書く事実と意見が混ざる事実と数値だけにする
翌朝にまとめて書く内容が曖昧になる終業前15分を時刻で固定する
作業日報から全部転記する二度手間になる添付して要約だけ書く
特記事項を空欄にする確認したのか忘れたのか分からない「なし」と書く

よくある質問

工事日報は毎日書かないといけませんか

作業を行った日は書きます。作業を行わなかった日も、天候による中止など理由を1行残すと、工程の遅れの根拠になります。空欄のまま飛ばすと、後で工期延長を相談するときに説明できません。

手書きとデータのどちらがいいですか

現場で書くなら手書きが速く、集計するならデータが速い、という使い分けが実務的です。手書きしてからExcelに打ち直しているなら、そこが最初に見直す場所です。集計に使う項目だけを入力する形でも効果があります。

協力会社ごとに書式が違って集計できません

数量の単位と作業内容の書き方が揃っていないことが原因です。元請が様式を配り、単位と場所の書き方を決めると集計できるようになります。

日報に写真を貼る必要はありますか

必須ではありませんが、追加作業・不具合・是正があった日は写真があると説明が短く済みます。枚数が増えるとファイルが重くなるので、日報には撮影箇所と枚数だけ書き、写真は別に管理する形が扱いやすくなります。

書く時間が業務時間に入っていません

終業前の15分を業務時間として確保するのが前提です。建設業では2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されており、原則として月45時間・年360時間が上限です。時間内に収める設計にしないと、日報から先に飛ばされます。

監督員に「日報が読みにくい」と言われました

事実と意見が混ざっているか、場所と数量が入っていないことがほとんどです。作業内容を「工種+場所+工法」、数量を「当日/全体」にするだけで、読み手の受け取り方が変わります。

様式はどこで手に入りますか

全建統一様式には工事日報そのものは含まれていないため、元請や発注者の指定様式を使うか、業種別に配布されているものを使うのが一般的です。自社で作る場合も、この記事の記載項目一覧をそのまま欄にすれば足ります。

まとめ

工事日報の書き方は、後から使う場面から逆算して決めるのが基本です。進捗の把握、原価の説明、発注者への報告、災害時の確認。この4つで必要になるのが、作業内容と数量、人員、手待ち、追加作業、指示事項です。

記載項目は省略せず、基本情報・人員機械材料・作業と進捗・安全品質・特記連絡の5つに分けて全部欄を作ります。書くときは、作業内容を「工種+場所+工法」、数量を「当日/全体」、手待ちを「時刻・理由・人数」で。所感は書かず、事実と数値だけにします。

5分で書き終えるには、昼と夕方の2回にメモを分け、選択式の欄を増やし、単位を印字し、作業日報からの転記をやめて添付にする。そして終業前の15分を、時刻で固定してください。

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実際に使える様式が必要な方へ

工事日報・作業日報の様式を探している方は点検板をご覧ください。

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