書類・帳票・記録実務2026.08.27 公開SR-06

安全書類の整理|グリーンファイル11種と綴じ順

目次

安全書類(グリーンファイル)は、種類が多いうえに提出のタイミングがバラバラです。着工前に出すもの、入場のたびに出すもの、機械を持ち込むたびに出すもの。どれが揃っていないのかが分からないまま、期日だけが来ます。

この記事では、全建統一様式の11種類を一覧にして、それぞれ何を書く書類か、いつ誰が出すかを整理します。綴じ順と、不備が出やすい箇所も具体的に扱います。

新規入場者の受入れ手順は「新規入場者教育の進め方」で扱っています。

結論:安全書類は「出すタイミング」で3つに分けると整理できる

安全書類が散らかるのは、種類で分類しているからです。出すタイミングで分けると、何が足りないかが見えます。

分類いつ出すか主な書類
契約時に1回下請契約が決まったとき再下請負通知書、下請負業者編成表、施工体制台帳
入場のたび作業員が現場に入るとき作業員名簿、新規入場時等教育実施報告書
持ち込むたび機械・材料を持ち込むとき移動式クレーン等使用届、持込機械届済証、有機溶剤等持込使用届
毎日・随時作業の中で発生安全ミーティング報告書、作業間連絡調整

ポイントはここです。「契約時に1回」の書類が揃っていないと、後の書類が出せません。まずここから埋めます。

出すタイミングで分けるいつ主な書類出す人契約時体制台帳・通知書下請→元請入場のたび名簿・教育の記録下請→元請持込のたび使用届・届済証下請⇄元請随時ミーティング報告下請→元請
契約時・入場時・持込時・毎日の4つのタイミングと、対応する様式を並べた図

書類ごとの書き方は、作業員名簿の書き方、再下請負通知書の書き方、工事安全衛生計画書の書き方、施工体制台帳の書き方にまとめています。

全建統一様式の一覧【11種類】

安全書類の様式は、全国建設業協会が定める全建統一様式が広く使われています。2026年8月時点で流通しているのは改訂6版(2024年10月)です。

施工体制台帳関係

様式帳票名誰が出すかいつ
第1号-甲再下請負通知書(変更届)下請 → 元請下請契約が決まったとき
第1号-甲-別紙一号特定技能外国人建設現場入場届出書下請 → 元請該当者が入場するとき
第1号-乙下請負業者編成表下請 → 元請契約時
第2号施工体制台帳作成建設工事の通知元請 → 下請着工前
第3号施工体制台帳元請が作成着工前
第4号工事作業所災害防止協議会兼施工体系図元請が作成着工前
第5号作業員名簿下請 → 元請入場前

労務安全関係

様式帳票名誰が出すかいつ
第6号工事安全衛生計画書下請 → 元請着工前
第7号新規入場時等教育実施報告書下請 → 元請教育の実施後
第8号安全ミーティング報告書下請 → 元請実施のつど
第9号移動式クレーン・車両系建設機械等使用届下請 → 元請機械を持ち込む前
第10号持込機械届済証元請が交付届出の受理後
第11号有機溶剤・特定化学物質等持込使用届下請 → 元請持ち込む前

様式番号は改訂で変わることがあります。現場に入る前に、元請から配られた版を確認してください。古い版の様式で作ると、そのまま差し戻されます。

様式別の書き方と、不備が出やすい箇所

第1号-甲 再下請負通知書

自社と、自社が契約した下請の情報を書きます。二次より下の請負関係を元請に伝える書類です。

  • 不備が多い箇所:健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況。「適用除外」を選ぶ場合は理由が要ります
  • 建設業許可:許可番号と有効期限。期限切れが最も多い差し戻し理由です
  • 変更があったら変更届を出す。契約金額や工期が変わったのに、最初の1枚のまま置かれていることがあります

第3号 施工体制台帳

元請が作成し、現場に備え置く書類です。建設業法第24条の8に基づくもので、下請の情報、監理技術者、専門技術者などを記載します。

  • 保存:建設業法施行規則により、目的物の引渡しから5年間の保存が定められています
  • 作成義務の対象となる工事の範囲は法令で定められており、改正されることがあります。自社の工事が該当するかは、許可行政庁の窓口や行政書士に確認してください

第5号 作業員名簿

現場に入る作業員を1人ずつ書きます。最も更新頻度が高い書類です。

主な記載事項は次のとおりです。

  • 氏名、生年月日、年齢、住所、職種
  • 雇入年月日、経験年数
  • 技能講習・特別教育などの資格と番号
  • 健康診断の受診日
  • 社会保険の加入状況
  • 緊急連絡先
  • 受入教育の実施日

不備が多いのは資格の欄です。作業主任者の選任が必要な作業なのに該当の資格が載っていない、資格証の写しが添付されていない、というパターンが繰り返されます。

人が入れ替わったら、その日のうちに差し替えます。名簿に載っていない人が現場にいる状態は、災害が起きたときに説明できません。

第6号 工事安全衛生計画書

自社の作業について、危険の予測と対策を書きます。現場が変わるたびに作り直す書類です。前の現場の内容をそのまま流用すると、現場に無い作業が並ぶことになります。

第7号 新規入場時等教育実施報告書

新規入場者教育を実施したことの報告です。実施日・実施者・時間・内容・受講者を書きます。

  • 不備が多い箇所:受講者の氏名が作業員名簿と一致していない
  • 入場した日と教育の実施日が逆転していないか確認します

第9号・第10号 機械の持込関係

移動式クレーンや車両系建設機械を持ち込むときに、第9号で届け出て、元請が第10号(持込機械届済証)を交付します。

  • 添付が必要:定期自主検査(特定自主検査)の記録、運転資格の証明
  • 不備が多い箇所:特定自主検査の期限切れ。検査済標章の年月を先に見てください
  • 機械を入れ替えたら、そのつど届け直します

第11号 有機溶剤・特定化学物質等持込使用届

塗料や接着剤などを持ち込むときに出します。安全データシート(SDS)の添付を求められることがあります。作業主任者の選任が必要な場合は、名簿の資格欄と揃えます。

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綴じ順の決め方

綴じ順は元請の指定があればそれに従います。指定がない場合は、次の順が探しやすくなります。

  1. 施工体制台帳(第3号)
  2. 施工体系図(第4号)
  3. 再下請負通知書・下請負業者編成表(第1号-甲・乙)|会社ごとにまとめる
  4. 作業員名簿(第5号)|会社ごと
  5. 工事安全衛生計画書(第6号)|会社ごと
  6. 新規入場時等教育実施報告書(第7号)|日付順
  7. 機械の持込関係(第9号・第10号)|機械ごと
  8. 有機溶剤等持込使用届(第11号)
  9. 安全ミーティング報告書(第8号)|日付順

ポイントは、「会社ごと」と「日付順」を混ぜないことです。会社ごとにまとめる書類(3〜5)は、インデックスを会社名にします。日付順のもの(6・9)は、時系列で追えるようにします。

インデックスは様式番号ではなく帳票名で付けます。様式番号は改訂で変わりますが、帳票名はほぼ変わりません。

グリーンサイトを使う場合

グリーンサイトは、安全書類を電子で作成・提出できるサービスです。元請が導入している現場では、紙のファイルではなくシステム上で提出します。

紙で運用する場合グリーンサイトを使う場合
元請が様式を配る元請が現場を登録し、下請を招待する
下請が記入して提出下請が入力して提出
元請がファイルに綴じるシステム上で承認する
差し替えは紙を入れ替える内容を更新すると反映される

利点は、一度登録した会社情報や作業員情報を、次の現場で再利用できることです。作業員名簿を毎回一から作る必要がなくなります。

一方で、元請ごとに使うシステムが違う現場もあります。紙とシステムの両方を求められると二度手間になるため、着工前に「どちらで出すか」を確認しておいてください。

不備を減らす3つの手当て

手当て1:期限のあるものを先に洗う

差し戻しの多くは期限切れです。建設業許可の有効期限、特定自主検査の期限、健康診断の受診日、資格の有効期限。この4つを契約時に一度まとめて確認します。

手当て2:作業員名簿を原本として持つ

資格も健康診断も緊急連絡先も、名簿に集約されています。自社で名簿を最新に保っておけば、現場が変わっても作り直しになりません。

手当て3:提出前に3点だけ突き合わせる

全部を読み合わせる必要はありません。次の3つだけ見ます。

  1. 作業員名簿の氏名と、新規入場時等教育の受講者が一致しているか
  2. 選任が必要な作業に対して、名簿に資格が載っているか
  3. 持込機械の特定自主検査の期限が切れていないか

この3つで、差し戻しの大半が防げます。

保存期間

書類保存期間の考え方
施工体制台帳建設業法施行規則により、目的物の引渡しから5年間
建設業法上の帳簿と添付書類原則5年
営業に関する図書10年
その他の安全書類法令で一律には定められていない。社内基準による

起算点は工事完了時ではなく、目的物の引渡しをしたときです。どの書類がどの区分に当たるかは個別の判断になるため、迷う場合は行政書士や許可行政庁の窓口に確認してください。年数の一覧は工事書類の保存期間と保存方法にまとめています。

安全書類の整理でよくある失敗

失敗起きること直し方
種類で分類する何が足りないか分からない提出タイミングで分ける
古い版の様式を使うまるごと差し戻される元請から配られた版を使う
作業員名簿を差し替えない名簿にない人が現場にいる入替えの日に差し替える
資格証の写しを付けない選任を証明できない名簿と写しをセットで綴じる
特定自主検査の期限を見ない期限切れの機械が入る標章の年月を受入れ時に確認
会社ごとと日付順を混ぜる探せないインデックスを分ける
安全衛生計画書を流用する現場に無い作業が並ぶ現場ごとに作り直す
紙とシステムを併用する二度手間になる着工前にどちらかに決める

よくある質問

安全書類とグリーンファイルは違うものですか

同じものを指す呼び方です。安全書類を綴じるファイルが緑色だったことから、グリーンファイルと呼ばれるようになったといわれています。

全建統一様式は必ず使わなければいけませんか

法令で使用が義務づけられた様式ではありません。ただし多くの元請が統一様式を指定しているため、事実上の標準になっています。元請の独自様式が指定されている場合はそちらに従います。

最新の様式はどこで手に入りますか

全国建設業協会が発行しています。元請から配られる場合が多いので、まず元請に確認してください。改訂で内容が変わるため、手元の古いファイルを使い回さないようにします。

施工体制台帳は必ず作るのですか

作成義務の対象となる工事の範囲は建設業法で定められており、改正されることがあります。自社の工事が該当するかは、許可行政庁の窓口や行政書士に確認してください。

作業員名簿はどのくらいの頻度で更新しますか

人が入れ替わったその日に差し替えます。月1回の更新にしていると、名簿にない人が現場にいる期間が生まれます。

一人親方も名簿に載せますか

現場に入る以上、誰がいるかを把握する必要があります。元請の指示に従いますが、載せない運用にしていると災害時に説明できません。

電子で保存してもいいですか

保存の形式については、法令上の要件を満たす必要がある書類があります。施工体制台帳など保存期間が定められた書類は、要件を確認してから電子化してください。判断がつかない場合は行政書士に相談します。

提出が間に合わないと入場できませんか

多くの現場で、書類が揃っていない会社は入場を認めない運用になっています。契約が決まった時点で着手し、期限のあるものから先に確認してください。

まとめ

安全書類の整理は、種類ではなく提出タイミングで分けると見通しがよくなります。契約時に1回、入場のたび、持ち込むたび、毎日。この4つに分けると、何が足りないかが見えます。

全建統一様式は11種類あり、2026年8月時点で流通しているのは改訂6版です。差し戻しの多くは期限切れです。建設業許可・特定自主検査・健康診断・資格の4つを、契約時にまとめて確認してください。

提出前に見るのは3点だけで足ります。作業員名簿と新規入場時等教育の受講者が一致しているか、選任が必要な作業に資格が載っているか、持込機械の検査期限が切れていないか。綴じるときは、会社ごとにまとめる書類と日付順の書類を混ぜないでください。

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