安全書類の整理|グリーンファイル11種と綴じ順
目次
安全書類(グリーンファイル)は、種類が多いうえに提出のタイミングがバラバラです。着工前に出すもの、入場のたびに出すもの、機械を持ち込むたびに出すもの。どれが揃っていないのかが分からないまま、期日だけが来ます。
この記事では、全建統一様式の11種類を一覧にして、それぞれ何を書く書類か、いつ誰が出すかを整理します。綴じ順と、不備が出やすい箇所も具体的に扱います。
結論:安全書類は「出すタイミング」で3つに分けると整理できる
安全書類が散らかるのは、種類で分類しているからです。出すタイミングで分けると、何が足りないかが見えます。
| 分類 | いつ出すか | 主な書類 |
|---|---|---|
| 契約時に1回 | 下請契約が決まったとき | 再下請負通知書、下請負業者編成表、施工体制台帳 |
| 入場のたび | 作業員が現場に入るとき | 作業員名簿、新規入場時等教育実施報告書 |
| 持ち込むたび | 機械・材料を持ち込むとき | 移動式クレーン等使用届、持込機械届済証、有機溶剤等持込使用届 |
| 毎日・随時 | 作業の中で発生 | 安全ミーティング報告書、作業間連絡調整 |
ポイントはここです。「契約時に1回」の書類が揃っていないと、後の書類が出せません。まずここから埋めます。
書類ごとの書き方は、作業員名簿の書き方、再下請負通知書の書き方、工事安全衛生計画書の書き方、施工体制台帳の書き方にまとめています。
全建統一様式の一覧【11種類】
安全書類の様式は、全国建設業協会が定める全建統一様式が広く使われています。2026年8月時点で流通しているのは改訂6版(2024年10月)です。
施工体制台帳関係
| 様式 | 帳票名 | 誰が出すか | いつ |
|---|---|---|---|
| 第1号-甲 | 再下請負通知書(変更届) | 下請 → 元請 | 下請契約が決まったとき |
| 第1号-甲-別紙 | 一号特定技能外国人建設現場入場届出書 | 下請 → 元請 | 該当者が入場するとき |
| 第1号-乙 | 下請負業者編成表 | 下請 → 元請 | 契約時 |
| 第2号 | 施工体制台帳作成建設工事の通知 | 元請 → 下請 | 着工前 |
| 第3号 | 施工体制台帳 | 元請が作成 | 着工前 |
| 第4号 | 工事作業所災害防止協議会兼施工体系図 | 元請が作成 | 着工前 |
| 第5号 | 作業員名簿 | 下請 → 元請 | 入場前 |
労務安全関係
| 様式 | 帳票名 | 誰が出すか | いつ |
|---|---|---|---|
| 第6号 | 工事安全衛生計画書 | 下請 → 元請 | 着工前 |
| 第7号 | 新規入場時等教育実施報告書 | 下請 → 元請 | 教育の実施後 |
| 第8号 | 安全ミーティング報告書 | 下請 → 元請 | 実施のつど |
| 第9号 | 移動式クレーン・車両系建設機械等使用届 | 下請 → 元請 | 機械を持ち込む前 |
| 第10号 | 持込機械届済証 | 元請が交付 | 届出の受理後 |
| 第11号 | 有機溶剤・特定化学物質等持込使用届 | 下請 → 元請 | 持ち込む前 |
様式番号は改訂で変わることがあります。現場に入る前に、元請から配られた版を確認してください。古い版の様式で作ると、そのまま差し戻されます。
様式別の書き方と、不備が出やすい箇所
第1号-甲 再下請負通知書
自社と、自社が契約した下請の情報を書きます。二次より下の請負関係を元請に伝える書類です。
- 不備が多い箇所:健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況。「適用除外」を選ぶ場合は理由が要ります
- 建設業許可:許可番号と有効期限。期限切れが最も多い差し戻し理由です
- 変更があったら変更届を出す。契約金額や工期が変わったのに、最初の1枚のまま置かれていることがあります
第3号 施工体制台帳
元請が作成し、現場に備え置く書類です。建設業法第24条の8に基づくもので、下請の情報、監理技術者、専門技術者などを記載します。
- 保存:建設業法施行規則により、目的物の引渡しから5年間の保存が定められています
- 作成義務の対象となる工事の範囲は法令で定められており、改正されることがあります。自社の工事が該当するかは、許可行政庁の窓口や行政書士に確認してください
第5号 作業員名簿
現場に入る作業員を1人ずつ書きます。最も更新頻度が高い書類です。
主な記載事項は次のとおりです。
- 氏名、生年月日、年齢、住所、職種
- 雇入年月日、経験年数
- 技能講習・特別教育などの資格と番号
- 健康診断の受診日
- 社会保険の加入状況
- 緊急連絡先
- 受入教育の実施日
不備が多いのは資格の欄です。作業主任者の選任が必要な作業なのに該当の資格が載っていない、資格証の写しが添付されていない、というパターンが繰り返されます。
人が入れ替わったら、その日のうちに差し替えます。名簿に載っていない人が現場にいる状態は、災害が起きたときに説明できません。
第6号 工事安全衛生計画書
自社の作業について、危険の予測と対策を書きます。現場が変わるたびに作り直す書類です。前の現場の内容をそのまま流用すると、現場に無い作業が並ぶことになります。
第7号 新規入場時等教育実施報告書
新規入場者教育を実施したことの報告です。実施日・実施者・時間・内容・受講者を書きます。
- 不備が多い箇所:受講者の氏名が作業員名簿と一致していない
- 入場した日と教育の実施日が逆転していないか確認します
第9号・第10号 機械の持込関係
移動式クレーンや車両系建設機械を持ち込むときに、第9号で届け出て、元請が第10号(持込機械届済証)を交付します。
- 添付が必要:定期自主検査(特定自主検査)の記録、運転資格の証明
- 不備が多い箇所:特定自主検査の期限切れ。検査済標章の年月を先に見てください
- 機械を入れ替えたら、そのつど届け直します
第11号 有機溶剤・特定化学物質等持込使用届
塗料や接着剤などを持ち込むときに出します。安全データシート(SDS)の添付を求められることがあります。作業主任者の選任が必要な場合は、名簿の資格欄と揃えます。
綴じ順の決め方
綴じ順は元請の指定があればそれに従います。指定がない場合は、次の順が探しやすくなります。
- 施工体制台帳(第3号)
- 施工体系図(第4号)
- 再下請負通知書・下請負業者編成表(第1号-甲・乙)|会社ごとにまとめる
- 作業員名簿(第5号)|会社ごと
- 工事安全衛生計画書(第6号)|会社ごと
- 新規入場時等教育実施報告書(第7号)|日付順
- 機械の持込関係(第9号・第10号)|機械ごと
- 有機溶剤等持込使用届(第11号)
- 安全ミーティング報告書(第8号)|日付順
ポイントは、「会社ごと」と「日付順」を混ぜないことです。会社ごとにまとめる書類(3〜5)は、インデックスを会社名にします。日付順のもの(6・9)は、時系列で追えるようにします。
インデックスは様式番号ではなく帳票名で付けます。様式番号は改訂で変わりますが、帳票名はほぼ変わりません。
グリーンサイトを使う場合
グリーンサイトは、安全書類を電子で作成・提出できるサービスです。元請が導入している現場では、紙のファイルではなくシステム上で提出します。
| 紙で運用する場合 | グリーンサイトを使う場合 |
|---|---|
| 元請が様式を配る | 元請が現場を登録し、下請を招待する |
| 下請が記入して提出 | 下請が入力して提出 |
| 元請がファイルに綴じる | システム上で承認する |
| 差し替えは紙を入れ替える | 内容を更新すると反映される |
利点は、一度登録した会社情報や作業員情報を、次の現場で再利用できることです。作業員名簿を毎回一から作る必要がなくなります。
一方で、元請ごとに使うシステムが違う現場もあります。紙とシステムの両方を求められると二度手間になるため、着工前に「どちらで出すか」を確認しておいてください。
不備を減らす3つの手当て
手当て1:期限のあるものを先に洗う
差し戻しの多くは期限切れです。建設業許可の有効期限、特定自主検査の期限、健康診断の受診日、資格の有効期限。この4つを契約時に一度まとめて確認します。
手当て2:作業員名簿を原本として持つ
資格も健康診断も緊急連絡先も、名簿に集約されています。自社で名簿を最新に保っておけば、現場が変わっても作り直しになりません。
手当て3:提出前に3点だけ突き合わせる
全部を読み合わせる必要はありません。次の3つだけ見ます。
- 作業員名簿の氏名と、新規入場時等教育の受講者が一致しているか
- 選任が必要な作業に対して、名簿に資格が載っているか
- 持込機械の特定自主検査の期限が切れていないか
この3つで、差し戻しの大半が防げます。
保存期間
| 書類 | 保存期間の考え方 |
|---|---|
| 施工体制台帳 | 建設業法施行規則により、目的物の引渡しから5年間 |
| 建設業法上の帳簿と添付書類 | 原則5年 |
| 営業に関する図書 | 10年 |
| その他の安全書類 | 法令で一律には定められていない。社内基準による |
起算点は工事完了時ではなく、目的物の引渡しをしたときです。どの書類がどの区分に当たるかは個別の判断になるため、迷う場合は行政書士や許可行政庁の窓口に確認してください。年数の一覧は工事書類の保存期間と保存方法にまとめています。
安全書類の整理でよくある失敗
| 失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 種類で分類する | 何が足りないか分からない | 提出タイミングで分ける |
| 古い版の様式を使う | まるごと差し戻される | 元請から配られた版を使う |
| 作業員名簿を差し替えない | 名簿にない人が現場にいる | 入替えの日に差し替える |
| 資格証の写しを付けない | 選任を証明できない | 名簿と写しをセットで綴じる |
| 特定自主検査の期限を見ない | 期限切れの機械が入る | 標章の年月を受入れ時に確認 |
| 会社ごとと日付順を混ぜる | 探せない | インデックスを分ける |
| 安全衛生計画書を流用する | 現場に無い作業が並ぶ | 現場ごとに作り直す |
| 紙とシステムを併用する | 二度手間になる | 着工前にどちらかに決める |
よくある質問
安全書類とグリーンファイルは違うものですか
同じものを指す呼び方です。安全書類を綴じるファイルが緑色だったことから、グリーンファイルと呼ばれるようになったといわれています。
全建統一様式は必ず使わなければいけませんか
法令で使用が義務づけられた様式ではありません。ただし多くの元請が統一様式を指定しているため、事実上の標準になっています。元請の独自様式が指定されている場合はそちらに従います。
最新の様式はどこで手に入りますか
全国建設業協会が発行しています。元請から配られる場合が多いので、まず元請に確認してください。改訂で内容が変わるため、手元の古いファイルを使い回さないようにします。
施工体制台帳は必ず作るのですか
作成義務の対象となる工事の範囲は建設業法で定められており、改正されることがあります。自社の工事が該当するかは、許可行政庁の窓口や行政書士に確認してください。
作業員名簿はどのくらいの頻度で更新しますか
人が入れ替わったその日に差し替えます。月1回の更新にしていると、名簿にない人が現場にいる期間が生まれます。
一人親方も名簿に載せますか
現場に入る以上、誰がいるかを把握する必要があります。元請の指示に従いますが、載せない運用にしていると災害時に説明できません。
電子で保存してもいいですか
保存の形式については、法令上の要件を満たす必要がある書類があります。施工体制台帳など保存期間が定められた書類は、要件を確認してから電子化してください。判断がつかない場合は行政書士に相談します。
提出が間に合わないと入場できませんか
多くの現場で、書類が揃っていない会社は入場を認めない運用になっています。契約が決まった時点で着手し、期限のあるものから先に確認してください。
まとめ
安全書類の整理は、種類ではなく提出タイミングで分けると見通しがよくなります。契約時に1回、入場のたび、持ち込むたび、毎日。この4つに分けると、何が足りないかが見えます。
全建統一様式は11種類あり、2026年8月時点で流通しているのは改訂6版です。差し戻しの多くは期限切れです。建設業許可・特定自主検査・健康診断・資格の4つを、契約時にまとめて確認してください。
提出前に見るのは3点だけで足ります。作業員名簿と新規入場時等教育の受講者が一致しているか、選任が必要な作業に資格が載っているか、持込機械の検査期限が切れていないか。綴じるときは、会社ごとにまとめる書類と日付順の書類を混ぜないでください。
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