安全管理・点検実務2026.08.27 公開AN-04

KY活動用紙の書き方|工種別の記入例8つ

目次

KY活動用紙は、欄が空いていると何を書けばいいのか分からなくなります。とりあえず「足元注意」と書いて出す。それが続くと、翌日も翌々日も同じ内容になり、書く側も受け取る側も意味を感じなくなります。

この記事では、KY活動用紙の欄ごとの書き方を示したうえで、工種別の記入例を8つ並べます。あわせて、そのまま出すと注意される書き方と直した形、そしてネタ切れしたときの具体的な手当てまで書きます。

KY活動そのものの進め方は「KY活動のやり方」で扱っています。

結論:KY活動用紙は「原因・行動・結果」の形で書くと埋まる

KY活動用紙が書きにくいのは、書く形が決まっていないからです。危険を「〜なので、〜して、〜になる」の3つに分けて書くと、ほとんどの欄が埋まります。

書き方例
×(結果だけ)転倒に注意
×(対象だけ)通路が狭い
×(掛け声)安全第一で作業する
○(原因・行動・結果)通路に資材が置かれているので、荷を持って通ると足を取られて転倒する

この形にすると、対策の欄も自動的に決まります。原因が「資材が置かれている」なら、対策は「通路の資材を作業前に移動する」です。「注意する」と書かずに済むのは、原因が書かれているからです。

KY活動用紙は「原因・行動・結果」で書くKY活動用紙作業内容2階東 天井下地(LGS)1R 危険通路の資材につまずく2R 重点作業台からの墜落3R 対策手すりを外さない4R 目標乗ったまま動かさない作業内容は場所・工種・道具まで重点は1つに絞る「注意する」で止めない
KY用紙の各欄と、記入例を吹き出しで示した図解

KY活動用紙の欄と書き方

基本情報の欄

欄書く内容注意点
実施日年月日・曜日曜日を入れると後で追いやすい
現場名・工区具体的な場所まで「◯◯新築工事 2階東」
会社名・職種実施した会社元請ではなく作業する会社
参加者全員の氏名人数だけにしない。災害時の記録になる
司会・記入者職長など交代制なら都度記入
天候晴/曇/雨/風風の強い日は危険の種類が変わる

参加者を人数だけで済ませないのがポイントです。誰がその日のKYに参加したかは、災害が起きたときに重要な記録になります。

作業内容の欄

その日の作業を書きます。ここが抽象的だと、以降の欄がすべて一般論になります。

  • ×「内装工事」
  • ○「2階東 X3〜X7 天井下地組み(LGS)、可搬式作業台を使用」

場所・工種・使う道具や機械の3つが入っていると、危険が具体的に出ます。様式の作業内容欄を3行に分けて、この3つを別々に書かせる方法もあります。

1R 潜む危険(現状把握)

原因・行動・結果の形で3〜5項目。中身のある3項目のほうが、薄い5項目より役に立ちます。全部埋めることを目的にしません。

2R 重点実施項目(本質追究)

出した危険のうち、最も危険なものを1つ選んで書きます。選ぶ基準は「起きる可能性」と「起きたときの重さ」です。ここを2つ以上書くと、以降の対策がぼやけます。

3R 対策(対策樹立)

選んだ危険に対する具体的な行動を書きます。誰が、いつ、何をするかまで入れます。

  • ×「脚立に注意する」
  • ○「脚立は開き止めをかけ、天板に立たない。2m以上は可搬式作業台に変える」

「注意する」が出たら、「どうやって?」ともう一段掘るのが司会の役割です。

4R 行動目標(目標設定)

実行することを1つ、言い切りの形で書きます。「開き止め確認、ヨシ」のように、現場で指差呼称できる短さにします。長い文は唱和できません。

指差呼称の項目

4Rで決めた行動を、指差呼称の言葉に落とします。「対象+状態+ヨシ」の形が基本です。「開き止め、かかっている、ヨシ」。

実施確認の欄

終業前に、決めた行動が実行されたかを確認して記入します。この欄があるだけで、朝の内容が変わります。

KY活動用紙の記入例【工種別に8つ】

自分の工種に近いものを見たほうが早いので、8つ並べます。

工種ごとにもっと数がほしい場合は、型枠工事のKY活動の例文、足場のKY活動の例文、電気工事のKY活動の例文に、それぞれ15例ずつ並べています。

記入例1:躯体(型枠解体・上下作業あり)

  • 作業内容:3階西 型枠解体、手ばらし、資材の荷下ろし
  • 潜む危険:解体した型枠材を仮置きするので、通路が狭くなり運搬時につまずいて転倒する/上下作業になるので、落下物が下の作業員に当たる/釘が出たままの材があるので、踏み抜く
  • 重点項目:上下作業による落下物
  • 対策:解体箇所の直下を立入禁止とし、カラーコーンとバーで囲う。合図者を1名配置する
  • 行動目標:下は入らせない、囲い確認ヨシ
  • 指差呼称:直下、立入禁止、ヨシ

記入例2:内装(脚立・作業台)

  • 作業内容:2階東 天井下地組み、可搬式作業台、電動工具使用
  • 潜む危険:作業台の手すりを外して作業するので、バランスを崩して墜落する/電動工具のコードが通路を横断しているので、引っかかって転倒する/上向き作業で切粉が落ちるので、目に入る
  • 重点項目:作業台からの墜落
  • 対策:手すりは外さない。移動時は必ず降りる。2人作業では1人が下で支える
  • 行動目標:手すり外さない、乗ったまま動かさない
  • 指差呼称:手すり、あり、ヨシ

記入例3:土工(バックホウ)

  • 作業内容:敷地北側 掘削、バックホウ0.45m3、ダンプへの積込み
  • 潜む危険:旋回範囲に人が入ると、カウンターウェイトに挟まれる/掘削面が自立しているので、崩壊して埋まる/ダンプの後退時に死角があるので、接触する
  • 重点項目:旋回範囲への立入りによる挟まれ
  • 対策:旋回範囲をコーンで明示し立入禁止。誘導者を1名配置し、オペレーターと合図を事前に決める。資材の動線を旋回範囲の外へ変更する
  • 行動目標:旋回内に入らない、誘導者の合図で動く
  • 指差呼称:旋回範囲、人なし、ヨシ

記入例4:鉄骨建方

  • 作業内容:3階 鉄骨建方、移動式クレーン25t、玉掛け
  • 潜む危険:吊り荷の下に人が入ると、落下物に当たる/親綱を張る前に移動すると、墜落する/玉掛けワイヤの掛かりが浅いと、荷が抜ける
  • 重点項目:吊り荷の下への立入り
  • 対策:吊り荷の下は立入禁止。合図者1名を専任にし、他の作業と兼務させない。玉掛けは地切りで一旦停止して確認する
  • 行動目標:吊り荷の下に入らない、地切り確認
  • 指差呼称:吊り荷の下、人なし、ヨシ

記入例5:電気工事

  • 作業内容:3階 配線・盤取付、仮設電源使用、脚立作業
  • 潜む危険:活線に近い場所で作業するので、感電する/仮設電源の被覆が傷んでいるので、漏電する/脚立の上で体をひねるので、バランスを崩す
  • 重点項目:感電
  • 対策:作業前に検電し、開閉器に施錠と表示(誰が復電するかを明示)。絶縁手袋を着用する
  • 行動目標:検電してから触る、表示を外さない
  • 指差呼称:検電、確認、ヨシ

記入例6:設備配管(狭所)

  • 作業内容:地下ピット内 配管、狭所作業
  • 潜む危険:ピット内は換気が悪いので、酸欠になる/出入口が1か所なので、異常時に出られない/照度が低いので、段差でつまずく
  • 重点項目:酸素欠乏
  • 対策:作業前に酸素濃度を測定し、送風機で換気を継続する。外に監視人を1名置き、常に声が届く状態にする
  • 行動目標:測ってから入る、監視人を離さない
  • 指差呼称:酸素濃度、18%以上、ヨシ

記入例7:解体工事

  • 作業内容:既存棟 内部解体、小型ブレーカー、廃材搬出
  • 潜む危険:粉じんが多いので、吸い込む/天井裏の状況が分からないので、有害物が出る/廃材に釘が出ているので、踏み抜く
  • 重点項目:想定外の建材が出ること
  • 対策:事前調査の結果をKYで全員に共有する。未確認の建材が出たら、その場で作業を止めて元請に連絡する
  • 行動目標:知らない材が出たら止める、勝手に壊さない
  • 指差呼称:事前調査、確認済み、ヨシ

記入例8:高所作業車

  • 作業内容:外壁 補修、高所作業車(垂直昇降型)
  • 潜む危険:不整地でアウトリガーの沈下があると、転倒する/バケットから身を乗り出すと、墜落する/上空に電線があるので、接触する
  • 重点項目:機体の転倒
  • 対策:敷板を使用し、アウトリガーの接地を目視で確認する。作業前に上空の電線との離隔を測る
  • 行動目標:敷板を敷く、上を見てから上げる
  • 指差呼称:アウトリガー、接地、ヨシ
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実際に使える様式が必要な方へ

工種ごとのKY用紙をそろえたい方は、業種別に様式が用意されている点検板をご覧ください。

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そのまま出すと注意される書き方と、直した形

欄注意される書き方直した形
作業内容内装工事2階東 X3〜X7 天井下地組み(LGS)、可搬式作業台使用
潜む危険足元注意通路に資材が置かれているので、荷を持って通るとつまずいて転倒する
潜む危険高所作業は危ない作業台の手すりを外すので、身を乗り出したときに墜落する
重点項目墜落・転倒・飛来作業台からの墜落(1つに絞る)
対策注意して作業する手すりは外さない。移動時は必ず降りる
対策安全帯を使用するどこに掛けるかまで書く:親綱に掛ける(掛ける場所は北側の手すり)
行動目標安全第一手すり外さない、乗ったまま動かさない
参加者4名山田・佐藤・鈴木・田中(4名)
実施確認(空欄)17:00 実行確認(職長 山田)

「安全帯を使用する」で止めないのが実務上の分かれ目です。掛ける場所が無い状態で「使用する」と書いても、その日の作業は変わりません。

ネタ切れしたときの手当て

毎日書いていると、必ず出なくなる日が来ます。用紙の書き方の問題ではなく、材料が尽きているので、材料を持ち込みます。

手当て1:前日のヒヤリハットを持ち込む

前日に起きたヒヤリハットや、パトロールの指摘をその日のKYの材料にします。現実に起きたことなので、一般論になりません。集め方はヒヤリハット報告の書き方で扱います。

手当て2:対象を「今日の1場面」に絞る

「今日の作業全般」で危険を出そうとすると、一般論しか出ません。「2階東側の作業台から資材を上げる場面」まで具体化すると、出てくる危険が変わります。

手当て3:昨日と何が違うかを1問聞く

同じ作業が続く日は、「今日はどこが昨日と違いますか」と聞きます。人が増えた、隣で別の業者が入る、風が強い、材料が変わった。違いのあるところに危険があります。

手当て4:司会と記入者を交代する

職長が毎回司会をすると、発言する人が固定されます。月に何度か作業員が司会をすると、出てくる視点が変わります。

手当て5:用紙の裏に工種別の災害事例を印刷しておく

その工種で実際に起きた災害を数行載せておきます。発言が出ないときの呼び水になり、司会が交代しても内容が薄くなりません。

手当て6:場所を作業場所に変える

事務所前でやると抽象的になります。その日作業する場所の近くで実施すると、目に見えるものから危険が出ます。

手当て7:同じ内容が3日続いたら止める

「足元注意」が3日続いたら、KYが機能していないサインです。そのまま続けず、対象の場面を変えるか、材料を持ち込みます。

KY活動用紙の配布・回収・保管

配布

前日の夕方に翌日ぶんを職長へ渡す形が定着しやすくなります。朝に配ると、配る時間ぶん朝礼が遅れます。現場事務所の決まった場所に置き、職長が自分で取る形でも構いません。

記入と提出

記入するのは職長です。元請が代筆すると、その日の作業の実感が入りません。提出は、その日のうちに現場事務所の決まった箱かファイルへ、と1か所に決めます。

回収時に見る3点

すべてを読む必要はありません。次の3つだけ見ます。

  1. 作業内容が具体的か(場所と道具まで)
  2. 重点項目が1つに絞られているか
  3. 対策が「注意する」で終わっていないか

3つ目が最も多いので、そこだけでも聞き返すと内容が変わります。

保管と保存期間

KY用紙は日付順に綴じます。会社が多い現場では、日付の中で会社別に並べると探しやすくなります。

KY用紙そのものの保存期間は、法令で定められていません。社内基準で1年から3年程度としている会社が多いようです。災害が起きたときの資料になるため、少なくとも工事完了までは保管しておくのが実務的です。

様式はどこで手に入るか

法令で定められた様式はありません。次のいずれかを使う現場が多くあります。

入手先特徴
元請の指定様式現場ごとに配られる。最も多い
建設業労働災害防止協会などが公開している様式4ラウンドの欄がそろっている
全建統一様式KY用紙そのものは含まれないが、安全書類と綴じ順を合わせやすい
自社で作る欄を減らせる。原因・行動・結果が書ける形にする

自社で作る場合も、「潜む危険」の欄を1行ではなく3行にすると、原因・行動・結果が書きやすくなります。

KY活動用紙でよくある失敗

失敗起きること直し方
「注意する」で終わる行動が変わらない原因を書いてから対策を書く
毎日同じ内容形骸化する対象を1場面に絞る/前日のヒヤリハットを持ち込む
参加者が人数だけ誰が参加したか残らない氏名を書く
重点項目が複数対策がぼやける1つに絞る
実施確認欄が空欄朝の内容が実行されない終業前に確認する
元請が代筆する実感が入らない職長が書く
用紙を綴じずに放置必要なときに出せない現場ごとに日付順で綴じる
安全帯「使用する」で止める掛ける場所が無いまま掛ける場所まで書く

よくある質問

KY活動用紙の様式に決まりはありますか

法令で定められた様式はありません。元請の指定様式か、建設業労働災害防止協会などが公開している様式を使う現場が多くあります。自社で作る場合も、原因・行動・結果が書ける形にしておくと運用しやすくなります。

元請と下請のどちらが書きますか

作業を行う会社(下請)の職長が書き、元請が受け取って綴じるのが一般的な流れです。元請が代筆すると、その日の作業の実感が入りません。

1人作業の場合もKY用紙は必要ですか

1人でも、作業前に危険を確認する意味は変わりません。欄を減らした簡易版を用意し、その日の危険と対策を1つずつ書く形にしている現場があります。

作業員が発言してくれません

いきなり「危険は?」と聞くと出にくいものです。「昨日ここで何かヒヤッとしたことは?」から入ると話が出やすくなります。出た意見を否定しないことが前提です。

天候不良で作業中止になった日は書きますか

作業をしていないので、KY用紙は不要です。ただし中止した事実を安全日誌に残すようにします。工程の遅れの根拠にもなります。

何分くらいで終わらせるものですか

記入を含めて5分程度が目安です。時間が長いのは、対象が絞れていないか、欄が多すぎるかのどちらかです。危険3項目・重点1つ・対策1つ・行動目標1つまで減らすと5分で収まります。

用紙を電子化してもいいですか

電子化している現場もあります。入力が紙より速いかを実測してから決めるのが確実です。屋外で手袋のまま入力できるか、電波のない場所で動くかも確認してください。

KY用紙と作業手順書はどう使い分けますか

作業手順書は作業のやり方を定めたもの、KY用紙はその日の危険を出すものです。手順書に書かれた危険を、その日の状況に当てはめて具体化するのがKYの役割になります。

まとめ

KY活動用紙の書き方は、危険を「原因・行動・結果」の3つに分けて書くのが基本です。この形にすると、対策の欄が自動的に決まり、「注意する」で終わらなくなります。

作業内容の欄には場所・工種・道具まで書きます。重点項目は1つに絞り、対策は誰が何をするかまで具体化します。「安全帯を使用する」で止めず、掛ける場所まで書いてください。

ネタ切れしたときは、用紙ではなく材料の問題です。前日のヒヤリハットを持ち込む、対象を1場面に絞る、昨日と何が違うかを1問聞く。同じ内容が3日続いたら、そのまま続けずに材料を入れ替えます。

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